ID番号 | : | 10221 |
事件名 | : | 職業安定法及び労働基準法違反被告事件 |
いわゆる事件名 | : | |
争点 | : | |
事案概要 | : | 労基法六条違反の罪と職安法三二条一項違反の罪の関係が争われた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法6条 職業安定法32条1項 |
体系項目 | : | 労基法総則(刑事) / 中間搾取 |
裁判年月日 | : | 1951年12月24日 |
裁判所名 | : | 東京高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和25年 (う) 4384 |
裁判結果 | : | 控訴棄却・有罪(懲役8か月) |
出典 | : | 高裁刑集4巻14号2125頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労基法総則-中間搾取〕 しかし、労働基準法第六条は、その見出しにもあるようにいわゆる中間搾取を禁止しようとするもので、その違反は直接労働者の利益を害するものとしていわば自然犯的性質を多分に帯びているのに対し、職業安定法第三十二条第一項は、その窮極の目的は労働者保護にあることもちろんであるけれども、直接には、職業紹介事業は政府がこれを無料で行う建前から、有料の職業紹介事業を原則として禁じようとするものであつて、その違反はいずれかといえば法定犯的色彩が濃く、これによつてみれば、この両者の規定を全然同一性質のものと解することはできず、むしろ両者はそれぞれその独自の存在理由を有するものと考えなければならない。のみならず、この両個の規定は、その適用の範囲においても一をもつて他を覆うという関係にはないのであつて、労働基準法第六条に違反する行為がすべて職業安定法の前記規定に違反するものでないことは所論のとおりであるし、また後者に違反する行為のうちでも、たとえば労働基準法の適用を受けない家事使用人の職業紹介を行う事業とか営利を目的としない実費職業紹介を行う事業のごときは、労働基準法第六条には違反しないのである。しからば原判決が被告人の原判示所為を一個の行為で右職業安定法及び労働基準法の二個の法条違反の罪名にあたるものとしたのは正当であつて、職業安定法第三十二条第一項は労働基準法第六条の特別法であるから前者の違反のみをもつて論ずべしとする所論は採用することができない。論旨は理由がない。 |