ID番号 | : | 10223 |
事件名 | : | 労働基準法、職業安定法違反被告事件 |
いわゆる事件名 | : | 荒尾製作所事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 会社代表取締役および会社が賃金不払につき起訴された事例(取締役は有罪、会社は無罪)。 |
参照法条 | : | 労働基準法24条 労働基準法121条1項 |
体系項目 | : | 賃金(刑事) / 賃金の支払い方法 / 定期日払い 罰則(刑事) / 両罰規定 |
裁判年月日 | : | 1950年1月17日 |
裁判所名 | : | 熊本地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | |
裁判結果 | : | 一部有罪(罰金100,000円)・一部無罪 |
出典 | : | 裁判資料55号598頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔賃金-賃金の支払い方法-定期日払い〕 弁護人は判示第一の事実につき被告人Y1の本件賃金不払は不可抗力に基因するものであると主張するが、前記各証拠を綜合すると、会社設立の当初より会社の基礎が鞏固でなく右被告人の業務執行も粗雑であつたため遂に会社の正常な運営に支障を来たし賃金不払となつたものと認められ、これ全く被告人Y1の責に帰すべきものというべく右不可抗力の主張は到底これを採用するをえない。次に判示第二の事実につき労働者が被告人Y1の意をくまず自発的に退職したものであると主張するが、前記同被告人の各供述調書及び当公廷における各証人の供述によれば自発的退職とは認められないからこの主張も亦認容することができない。 〔罰則-両罰規定〕 本件公訴事実中被告人Y1が被告株式会社Y2のために行為したのはその代理人又は使用人その他の従業者として判示第一、第二の労働基準法違反の行為をしたので右被告会社にも亦同法第百二十一条第一項本文により各本条の罰金刑を科せらるべきであるとの点については、被告人Y1が右被告会社の代表取締役であること前記認定の通りであるが、代表取締役なるものは法人たる株式会社の機関であつて労働基準法第百二十一条第一項本文に規定する代理人、使用人その他の従業者でないこと明白であるから、法人の代表者(機関)が労働基準法違反の行為をしたとしても同法第百二十一条第一項本文の適用はないものと解するのを相当とするので、罪とならないものというべく仍て被告株式会社Y2に対しては刑事訴訟法第三百三十六条により無罪の言渡をする。 |