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ID番号 10238
事件名 労働基準法違反事件
いわゆる事件名 伊丹食産化工事件
争点
事案概要  満一八歳に満たない年少の女子労働者を夜間午後一〇時以後において製パン作業に必要な労働に従事させた等として会社取締役および会社社長が起訴された事例(取締役につき有罪、社長無罪)。
参照法条 労働基準法60条
体系項目 年少者(刑事) / 未成年者の時間外労働
裁判年月日 1950年7月17日
裁判所名 神戸地
裁判形式 判決
事件番号
裁判結果 一部有罪(罰金10,000円)・一部無罪
出典 裁判資料55号520頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔年少者-未成年者の時間外労働〕
 本件公訴事実中、被告人Y1が、伊丹市(略)においてA株式会社を経営して製パン等の事業を営むものであるところ、被告人Y2と共謀の上、法定の除外事由なくして判示の如く、
 (イ) 昭和二十三年七月十五日から同年八月十三日迄の間、同工場の女子従業員であるBほか五名及び満十八歳未満の従業員であるCほか四名を午後十時以後製パン作業に従事させて深夜労働させ、
 (ロ) 同年八月一日から同年九月一日頃の間、同工場の女子従業員であるBほか五名及び満十八歳未満のCほか四名を一日について八時間を超えて製パン作業に従事させて労働させ、
 たとの点については、被告人Y1が前記A株式会社の社長として同会社の業務一切についてこれを統轄すべき地位にあつたことは十分認められるけれども、同人は右会社の製パン業務に関する労働面の事務はすべて被告人Y2に一任していた事実が明かであつて、殊に同人が昭和二十三年七月初頃から八月下旬頃までの間に亘り右会社の業務以外に新規の事業を計画し、屡々上京して前記会社には不在勝ちであつた事実を考え合せるときは、本件違反行為は被告人Y2が被告人Y1に相談することなく単独で為したものと認めるのが寧ろ相当であつて、被告人Y1と被告人Y2との間に共謀があつたとの事実はこれを確認するに足る証拠なく、犯罪の証明が十分でないから、被告人Y1に対しては刑事訴訟法第三百三十六条後段により無罪の言渡をなすべきものとする。