ID番号 | : | 10245 |
事件名 | : | |
いわゆる事件名 | : | 中村新一強制労働違反事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 駅員や警察官とも懇意だから逃げても駄目だとの趣旨のことを言って客を取らせたことが強制労働にあたるか否かが争われた事例(否定)。 |
参照法条 | : | 労働基準法5条 労働基準法17条 |
体系項目 | : | 労基法総則(刑事) / 強制労働 労働契約(刑事) / 前借金相殺の禁止 |
裁判年月日 | : | 1950年9月13日 |
裁判所名 | : | 福岡地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | |
裁判結果 | : | |
出典 | : | |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労基法総則-強制労働〕 被告人はA等を連れ帰つた翌九日A等に対して客を取れと云う趣旨を婉曲に申向けた事実を認めることが出来るが、之を強要したと認めるに足りる証拠はなく況や暴行、脅迫を為した事実を認める証拠はない。又被告人はA等に対し、其の申出によつて自由に外出をも許して居る事実が認められ、又一方A等に対し、駅員や警察官とも懇意なのだから逃げても駄目だとの趣旨を申向けて居る事実を認めることが出来るが、前述の如き貸金債権を有する以上、此の程度の警告を為すことは寧ろ当然と考えられるから、監禁その他精神又は身体の自由を不当に強制したものと認めることは出来ない、更に第三回公判調書中証人Bの証言記載部分、………を綜合するとAは寧ろ進んで客を取つたものである事実が認められ、四月十一日の夜の如きは自ら客を招じ入れて売淫を為し身代金の契約をしてこれを受領して居るのであつて何等被告人によつて強制せられ困惑させられた事情を認めることが出来ない。 〔労働契約-前借金相殺の禁止〕 Aが売淫行為の身代として得た五千七百円位の金員を被告人が受領している事実は前段認定の如くである然るに第二回公判調書中Aの供述記載部分によれば同人は客から自ら身代金を受領して之を被告人の妻に交付したものであつて被告人に於て同女に対する前記貸金を被告人から同女に支払うべき賃金とを相殺したものでないことは明瞭であり、其の他債権と賃金を相殺した事実を認めるに足りる証拠はない。 |