ID番号 | : | 10249 |
事件名 | : | 労働基準法違反被告事件 |
いわゆる事件名 | : | 恵美須水産事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 賃金不払につき合資会社の有限責任社員が使用者として起訴された事例(有罪)。 |
参照法条 | : | 労働基準法24条2項 |
体系項目 | : | 賃金(刑事) / 賃金の支払い方法 / 定期日払い |
裁判年月日 | : | 1950年10月4日 |
裁判所名 | : | 広島高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和25年 (う) 362 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 高裁刑集3巻3号452頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔賃金-賃金の支払い方法-定期日払い〕 原判決は事実誤認並法令の解釈を誤つた違法があるというのであるが、労働基準法第二十四条においては何人が賃金の支払義務者であるかは規定されていないこと所論の通りであるが、賃金の支払義務者が使用者であることは同法の全趣旨を通じて明らかである。而して同法第十条に於て「この法律で使用者とは事業主又は事業の経営担当者其の他その事業の労働者に関する事項について事業主のために行為をする、すべての者をいう」と規定されておる。然らば同法第二十四条の賃金を支払うべきものは事業主(雇傭主)又は其の法律上の代表者に限らず事実上事業の経営担当者乃至労働者に関する事項につき事業主のために行為をするすべての者を包含するものであること自明の理である。 然して被告人が事業主たるA合資会社の有限責任社員であつてその法律上の代表者でないことは記録上明かであるが被告人が右会社の資本全額の出資者であり、又必要資金も全部同人の出金にかかり事実上被告人は其の事業経営の一切の実権を執り労働者の雇傭、賃金の支払等一切の指揮監督に当つておつたこと原判決挙示の証拠により明らかであるから、被告人が其の経営担当者として責に任ずべきものとなしたる原判決は何等事実の誤認なく又法令の解釈を誤りたる違法もない。論旨は理由がない。 |