全 情 報

ID番号 10297
事件名
いわゆる事件名 大正園事件
争点
事案概要  接客婦に支払うべき賃金から食事代等を差し引いて支払った行為が前借金相殺禁止(労基法一七条)にあたるか否かが争われた事例。
参照法条 労働基準法17条
労働基準法24条
労働基準法27条
体系項目 労働契約(刑事) / 前借金相殺の禁止
賃金(刑事) / 賃金の支払い方法 / 定期日払い
罰則(刑事) / 併合罪等
賃金(刑事) / 出来高払いの保障給
裁判年月日 1949年6月25日
裁判所名 長野地飯山支
裁判形式 判決
事件番号
裁判結果
出典
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労働契約-前借金相殺の禁止〕
〔賃金-賃金の支払い方法-定期日払い〕
〔罰則-併合罪等〕
 被告人は、
 (中略)
 (四) 昭和二十四年一月から同年三月迄の毎月二回の賃金支払の都度、
 (イ) 前記各接客婦に支払うべき賃金から、いずれも当該期間の食代等の債権を不法に控除して賃金全額の支払をなさず、
 (ロ) 右控除した残りの各賃金と前記各接客婦に対する前貸の各債権を相殺したものである。
 (中略)
 法律によると被告人の判示行為中
 (中略)
 判示(四)の(イ)の点は同法第二十四条第一項に違反し、いずれも同法第百二十条第一号に該当し、判示(四)の(ロ)の点は同法第十七条に違反し、同法第百十九条第一号に該当する
〔賃金-出来高払いの保障給〕
 被告人は長野県下高井郡平穏村(略)に於て内妻Aの名義でBなる屋号の下に数名の婦女子を接客婦として使用し接客業を営んで居るものであるが昭和二十三年十一月頃所轄中野労働基準監督署より労働基準法を適用する事業として遵守すべき事項について指示を受けたにも拘らず
 (中略)
 (三) 前記各接客婦の賃金は稼高の中三分を同人等が取得し爾余の七分を被告人に於てこれを取得する所謂出来高制で定められていたところ前記各接客婦について同法第二十七条所定の労働時間に応ずる一定額の保障賃金を定めることを怠り
 (中略)
 法律によると被告人の判示行為中……判示(三)の点は同法第二十七条に……違反し、いずれも同法第百二十条第一号に該当する。