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ID番号 10299
事件名
いわゆる事件名 清水建設事件
争点
事案概要  自己の周旋した労働者に対しその賃金を偽り、一括支給を受けた賃金額からその差額を抜取り着服する行為が、中間搾取(労基法六条)、横領罪(刑法二五二条)を成立させるか否かが争われた事例。
参照法条 労働基準法6条
体系項目 労基法総則(刑事) / 中間搾取
罰則(刑事) / 併合罪等
裁判年月日 1949年7月12日
裁判所名 津地
裁判形式 判決
事件番号
裁判結果
出典
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労基法総則-中間搾取〕
〔罰則-併合罪等〕
 被告人はA株式会社に雇われ同会社が他より請負つた昭和二十三年七月頃着工の三重県津市(略)における専売局津支店及び同年十二月初旬頃着工の同県鈴鹿市(略)におけるB学園の各建築工事に際し現場指導員として(但し同年十二月以降は現場指導員の名称は用いない)作業の指導監督に当つていたが形式上右現場指導員制の廃止せられた同年十二月以降においても実質的には何等その仕事の内容に変更がないに拘らず現場指導員当時の月給約一万二千円より日給二百五十円に切下げられたところから、これが差額を補うため被告人において右工事人夫として前記会社に周旋して作業に従事させていたC外四名に対し同会社より実際支払われる賃金が男人夫一日二百円、女人夫一日百三十円乃至二百円であるに拘らず前者は百八十円、後者は百十円である旨申し向けた上、
 第一 同年十二月三十日頃前記(略)B学園工事現場事務所において右会社員Dより右人夫等の依頼に基き同人等のため受取り保管にかかる同月分Cに対する賃金二千七百九十円中金千百四十円Eに対する賃金三千円中金千三百五十円、Fに対する賃金四千五百四十五円中金九百十五円以上合計金四千三百二十円を、
 (中略)
 夫々その頃同所において擅に抜取り以つて着服横領し且法定の除外事由がないのに拘らず業として他人の就業に介入し夫々右同額の利益を得たものである。法律に照すに被告人の判示所為中横領の点は各刑法第二百五十二条第一項に、労働基準法違反の点は各同法第六条、第百十八条に該当するところ、右は何れも一個の行為にして数個に罪名に触れる場合であるから刑法第五十四条第一項前段第十条に則り重い横領罪の刑に従い……