ID番号 | : | 10316 |
事件名 | : | 労基法六条等違反事件 |
いわゆる事件名 | : | |
争点 | : | |
事案概要 | : | 被用者三名を代表して受け取るべき給料から金員を勝手に抜きとったとして横領罪、労基法六条違反に問われた事例(有罪)。 |
参照法条 | : | 労働基準法6条 労働基準法118条 |
体系項目 | : | 労基法総則(刑事) / 中間搾取 |
裁判年月日 | : | 1949年10月22日 |
裁判所名 | : | 名古屋高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | |
裁判結果 | : | 破棄・有罪(懲役5か月) |
出典 | : | 高裁刑特報3号45頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労基法総則-中間搾取〕 右二名に対する給料は被告人とA工務店との間に於て取定めながら被告人は右三名に知らさず、同工務店から同人等に対し支払れる給料を被告人に於て受取り其の中合計金三万六千八百円を控除した残金を右三名に交付して居たものであつて此関係は所謂給料係が雇主の代理人として雇傭者に対し給料を支払ふ場合と異なり被告人が右三名を代表して雇主から給料を受取りながら之を同人等に交付せず前記金員を横領着服したものであつて被害者は前記三名であることは明であるから此点に於ける論旨は理由がない。 労働基準法第六條には「何人も法律に基いて許される場合の外業として他人の就業に介入して利益を得てはならない」と規定せられてあるが此規定は労働者が中間介入者によつて其労銀又は労力を搾取せられることを防止せんとする趣旨のものであり又横領罪は自己の占有する他人の物を横領するに依つて成立するものであるから両者は其保護せんとする法益を異にし互に他を吸收する関係に立たないから本件の場合に於ては所謂想像的競合犯を構成するものであつて従って此点の論旨も亦理由が無い。 |