全 情 報

ID番号 10501
事件名 労働安全衛生法違反被告事件
いわゆる事件名 下水道工事下請建設会社事件
争点
事案概要  下水道工事の下請業者が労安法にいう「事業者」かどうかが争われた事例。
参照法条 労働安全衛生法14条
体系項目 労基法総則(刑事) / 使用者 / 使用者の概念
裁判年月日 1988年5月12日
裁判所名 福岡高
裁判形式 判決
事件番号 昭和63年 (う) 11 
裁判結果 棄却(上告)
出典 時報1278号161頁
審級関係 上告審/最高/平 1. 4.17/昭和63年(あ)726号
評釈論文
判決理由 〔労基法総則-使用者-使用者の概念〕
 所論によると、労働安全衛生法一四条の「事業者」の意義については、同法の立法趣旨から労働者の安全を確保するには誰に対し各作業主任者の選任についての法的義務を科せばよいかという見地から解釈すべく、元請と下請労働者との間に直接の雇用関係がない場合でも実質的な指揮監督関係があり、元請において労働者の安全を確保すべき立場にあるような場合は、その元請が「事業者」であると認定すべきであるとして、本件工事についてはA建設が「事業主」に該当する、というのである。そこで、この点について検討するのに、同法一四条は労働法上の事業者の安全配慮義務を定めた規定であって、労働者を直接その支配下に置いてこれを指揮監督する法律関係が認められる場合において、法定の危険業務に従事させるときは、その雇用主である「事業者」に各作業主任者選任義務を負わせているものである。