ID番号 | : | 10508 |
事件名 | : | 児童福祉法違反事件/労働基準法違反事件 |
いわゆる事件名 | : | カフェー「淀」事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 満一五歳以上一八歳未満の女子を酒席にはべらせて労基法、児童福祉法違反に問われた事例。 |
参照法条 | : | 児童福祉法34条1項5号 児童福祉法34条1項9号 労働基準法63条2項 |
体系項目 | : | 年少者(刑事) / 福祉に有害な業務 罰則(刑事) / 併合罪等 |
裁判年月日 | : | 1969年12月2日 |
裁判所名 | : | 名古屋高金沢支 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和44年 (う) 47 |
裁判結果 | : | 有罪(懲役6か月) |
出典 | : | 刑裁月報1巻12号1099頁/家裁月報23巻4号116頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔年少者-福祉に有害な業務〕 九号の有害行為か否かは、その時代に即応した健全な社会通念に照らして考察すべきであつて、同条一項列挙の禁止行為中、五号に「満一五才に満たない児童に酒席に侍する行為」を業務としてさせる行為なる規定があることから、直ちに、その反対解釈として、満一五才以上の児童については該行為が放任されていると解することは相当でない。五号と九号とは、それぞれその犯罪の構成要件を異にし、殊に、一号から六号までが、現在の社会において屡々発生する典型的な、かつ、有害な影響を与える度合の強いと目される特定の行為をさせることを処罰しているのに対し、九号は有害行為をさせることを目的として自己の支配下に置く行為を処罰しているのであるから、一号から六号までと同種の行為であり、かつ、同規定で罪とならない行為は、すべて九号の有害行為から除かれるものとする原審見解にはたやすく左袒し得ない。「酒席に侍らせる行為」「酒席の接待をさせる行為」も、風俗営業等取締法にいうバー、キヤバレー、カフエー、待合等における場合には、かゝる場所が、とかく不健康な雰囲気に流れ易く、ために思慮未熟な児童をして、往々健全な勤労意欲を失わせることから、多くの場合において児童の心身に好ましからぬ影響を与えると解せられるべきであり、従つて、「酒席に侍する行為」「酒客を接待する行為」をさせる行為が、九号の有害行為にあたるか否かは、具体的に諸般の状況を綜合して考察しなければならない。 〔罰則-併合罪等〕 被告人の判示(一)の所為は、児童福祉法三四条一項九号、六〇条二項に、判示(二)の所為は労働基準法六三条二項、一一九号一号、女子年少者労働基準規則八条四四号に各該当するところ、以上は刑法五四条一項前段所定の一個の行為にして数個の罪名に触れる場合に該当するので同法一〇条に則り重い判示(一)の罪の刑によることとする。 |