ID番号 | : | 10515 |
事件名 | : | 労働基準法違反被告事件 |
いわゆる事件名 | : | 紀州建材事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 足場解体作業中に生じた事故につき、会社の代表取締役等が(旧)労基法違反の責任を問われた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法10条 労働基準法121条 |
体系項目 | : | 労基法総則(刑事) / 使用者 / 労基法の使用者 罰則(刑事) / 両罰規定 |
裁判年月日 | : | 1967年5月16日 |
裁判所名 | : | 大阪高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和42年 (う) 24 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 高裁刑集20巻3号298頁/タイムズ213号156頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労基法総則-使用者-労基法の使用者〕 労働基準法は労働者の保護を目的とするものであるが、その目的を効果的に達成するため、同法一〇条において「この法律で使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう」と規定し、およそ職場における労務管理を担当する者はすべてこれを使用者として労働基準遵守の責任者としているところ、同法四二条、四五条、ひいては労働安全衛生規則一〇八条の四、一二一条は労働者を作業上の危害から護るために使用者にいわゆる安全管理の責任を課したものであるから、その責任を負うべき者は必ずしも一人にかぎらず、数人が同時に使用者として右責任を課せられることもありうるものと解するのが相当である。 〔罰則-両罰規定〕 労働基準法一二一条はいわゆる両罰規定であり、事業主が直接の行為者でなくても、行為者本人の外になお事業主をも処罰する趣旨であつて、行為者本人を処罰しうるか否かは、同条の関与するところではなく、刑罰各本条及び刑法総則の定めるところである。そして、このことは法人の代表者が行為者本人である場合においても何ら異なるところがないことはもちろんである。ところで、原判決挙示の各証拠によれば、被告人Yは被告会社の代表取締役であつて、原判示各行為は被告人Yが被告会社の事業の労働者に関する事項について、被告会社のためになした行為であることが明らかであるから、被告人Yが違反行為者本人として罰せられることはもちろん、被告会社に対しても労働基準法一二一条一項により各本条の罰金刑を科しうるものと解すべきこと当然である。論旨はいずれも理由がない。 |