ID番号 | : | 10518 |
事件名 | : | 労働基準法違反事件 |
いわゆる事件名 | : | するが屋事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 使用者が多数の年少者を週四八時間をこえて労働させたとして起訴された事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法60条3項 労働基準法121条 |
体系項目 | : | 罰則(刑事) / 罪数 罰則(刑事) / 両罰規定 |
裁判年月日 | : | 1967年9月26日 |
裁判所名 | : | 大阪高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和42年 (う) 922 |
裁判結果 | : | 一部破棄,一部棄却,有罪(罰金30,000円) |
出典 | : | 下級刑集9巻9号1153頁/時報511号80頁/タイムズ215号206頁/家裁月報20巻5号151頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔罰則-罪数〕 労働基準法六〇条三項は、労働者に対する一日八時間、一週間四八時間の労働時間の原則を規定した同法三二条一項の法意を受けて満一五才以上で満一八才に満たない者に対する労働時間の基準を定めたものであつて、右六〇条三項は、年少労働者については、その健康の保護向上をはかるために同条所定の場合においても一週間の労働時間が四八時間を超えることを禁止したものであるから使用者が右規定に違反し、多週にわたつて多数の年少者を、週四八時間を超えて労働させた場合には、特段の事情ある場合を除き、その使用各週毎に、各労働者個人別に、独立して同条違反の罪が成立すると解すべきであつて、これを包括して一罪が成立するという所論は当らない(昭和三四年七月二日最高裁判所第一小法廷決定、集一三巻七号一、〇二六頁)。そして本件においては、記録を調査しても右特段の事情は認められないから、原判決が原判示各週毎、各労働者別の併合罪として処断した点においては何ら法令適用の誤はない。 〔罰則-両罰規定〕 原判決は、法人である被告会社に対し、労働基準法六〇条三項、一一九条一号のほかに同法一二一条二項を適用して処断しているが、同項は、事業主に同項所定の不作為あるいは作為があつた場合においては事業主も行為者として罰する旨規定しているけれども、同項にいう事業主とは、それが法人である場合においてはその代表者をさすものであることは、同条一項但書の規定によつて明らかであり、本件のように法人の代表者に違反行為のあつた場合における法人の処罰は、同条一項本文の規定によるべきものである(事業主たる法人の代表者は、同項の代理人といううちに包含されている趣旨と解すべきことについては、昭和三四年三月二六日最高裁判所第一小法廷決定、集一三巻三号四〇一頁参照)から、原判決の法令の適用には誤があるといわなければならない。しかも、右一二一条一項本文と同条二項とでは、犯罪の主体、構成要件、科せられるべき刑罰のすべてを異にするから、右誤は判決に影響を及ぼすことが明らかである。 |