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ID番号 10524
事件名 労働基準法違反事件/物価統制令違反事件
いわゆる事件名 カフェー「ハリウッド」事件
争点
事案概要  経営するカフェーの女給が離職の意思を有していることを知った後、それを阻止しようとして売掛未収金につき無理やり借用書を作成させた等の行為が労基法五条に違反するとして経営者が起訴された事例。
参照法条 労働基準法5条
体系項目 労基法総則(刑事) / 強制労働
裁判年月日 1965年12月14日
裁判所名 山口地
裁判形式 判決
事件番号 昭和38年 (わ) 198 
裁判結果 一部無罪,一部有罪(懲役1年)
出典 下級刑集7巻12号2216頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労基法総則-強制労働〕
 被告人は、昭和三五年四月ころから防府市(略)においてカフエー「A」を経営するかたわら、同三七年八月ころから同市(略)においてカフエー「B」を経営していたものであるが、同三七年四月七日午前零時過ぎころ、右カフエー「A」店内において、当時同店の女給であつたCが離職したい意思を有することを察知するや、後記手段により同女に精神的拘束を加えてその離職を阻止するとともに引きつづき就労させようと考え、同女の前借金三六、四一〇円の外、「客責任」と称する顧客に対する売掛未収金の集金責任額九五〇、〇四〇円、合計九八六、四五〇円につき、被告人の実妹Dをして右額を記載した書面を作成させたうえ、右C(当二〇年)に対し、署名および拇印の押捺を強要し、被告人が同店に出入りする暴力団E会の会員と親密な関係があるように装いかつ右E会の会員に売掛未収金の取立を委ねていたところから、かねて被告人を畏怖していた同女をして、前記書面に署名および拇印の押捺をさせて前記金額の借用証を作成させてその離職を阻止するとともに、引きつづき同三八年二月ころ同女が逃亡するに至るまで同女をして同店および前記カフエー「B」において就労させ、もつて同女の精神の自由を不当に拘束する手段によつて同女の意思に反して労働を強制したものである。