ID番号 | : | 10527 |
事件名 | : | 労働基準法違反被告事件 |
いわゆる事件名 | : | 本町産業事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 年少労働者の時間外労働につき、本人の自発的希望にもとづく短時間のものであっても、労基法六〇条三項に違反するとされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法32条 労働基準法60条3項 労働基準法119条 |
体系項目 | : | 年少者(刑事) / 未成年者の時間外労働 |
裁判年月日 | : | 1968年2月10日 |
裁判所名 | : | 東京家 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和42年 (少イ) 49 |
裁判結果 | : | 認容 |
出典 | : | 家裁月報20巻9号147頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔年少者-未成年者の時間外労働〕 本件各行為は、「いずれも年少労働者の自発的希望によつて行なわれたものであり、その時間も午前、午後各一五分の休憩時間を控除し、更に休日を除いて起訴された全期間を通算すると、一人一日平均三、四〇分程度の時間で、しかも午前七時前、午後六時以後の労働時間はないこと、その労働内容も軽作業であつて何等年少労働者の健康に影響を及ぼさないこと」等の事実からみると、被告人らの行為は構成要件に当らないか、または実質的違法性を欠き、犯罪は成立しないと主張する。 なる程被告人Yの当公判廷における供述、証人A、同Bおよび同Cの各証言によれば、弁護人の主張する右事実を認めることができる。 しかし本件各違反行為は、労働基準監督官作成の是正勧告書および被告人Yの供述によれば、昭和四〇年一二月八日、労働基準監督官より「年少労働者に対し実働八時間を超える時間外労働をさせているが、即時是正されたい。」旨の勧告を受けたにもかかわらず、これを是正することなく年少労働者に時間外労働をさせたものであり、しかも前認定のとおり、その時間外労働は、毎週平常的に行なわれ、その時間数も決して無視し得る程軽度のものではなく、これを年少労働者を厚く保護しようとした労働基準法第六〇条の法意に照らすと、本件違反行為が構成要件に当らないとか、或は実質的違法性がないということはできない。 |