全 情 報

ID番号 10532
事件名 傷害被告事件/住居侵入被告事件
いわゆる事件名 酒六事件
争点
事案概要  組合員が他の組合員を傷害したことにより傷害罪で、かつ、会社の立入り禁止にもかかわらず会社建物に立入り住居侵入で起訴された事例。
参照法条 労働基準法20条
体系項目 解雇(刑事) / その他
裁判年月日 1948年11月11日
裁判所名 高松高
裁判形式 判決
事件番号
裁判結果 有罪(懲役5か月・3か月・2か月)
出典 刑事裁判資料26号250頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇-その他〕
 被告人Y1は昭和二十一年二月頃被告人Y2は昭和二十年十月頃被告人Y3は昭和二十年七月頃からいづれも愛媛県西宇和郡三瓶町A株式会社三瓶工場の工員となり昭和二十年七月三日同会社より解雇の通知を受けたもの、被告人Y4はA三瓶工場労働組合の書記であるが
 第一、被告人Y1、同Y2、同Y3は昭和二十三年五月十七日午後十時過頃被告人Y2において同工場工務係B(当五十二年)を同工場原動部前に呼出し同人に対し時間外勤務を強行せしめたこと労働組合大会に出席しなかつたこと等を詰問したことに対し同人が否定的態度に出て陳謝しないばかりでなく満足な解答を与えなかつたので憤慨の余原審相被告人C等と共に意思連絡の上同人に対し交々殴打するなどの暴行を加え同人が隙をみて逃出すやその跡を追い同工場寄宿事務所前で再び同人を殴打し因つて同人に治療約十数日を要する結膜充血頭部胸部腰部等に打撲傷の傷害を与え
 第二、同年七月八日午後三時頃被告人等は孰れも同工場管理者工場長Dから同日午後四時以後は同工場内においては、同工場内のA三瓶工場労働組合事務所以外の場所へ立入ることを禁止する旨口頭で通告を受けその立入を禁止せられたのに拘らずその意思に反し
 一、被告人Y1は同月九日午前八時頃右組合事務所以外の場所である同工場内の寄宿事務所二階四畳半の室に故なく侵入し
 二、被告人Y2は同月八日午後四時過頃から翌九日午前九時頃まで前同室から故なく立退かず
 三、被告人Y4は翌九日午前九時頃前同室に故なく侵入した
 ものである。
 〔中略〕
 法律に照すと被告人Y1、同Y2同Y3の判示第一の所為は刑法第二百四条第六十条に被告Y1、同Y2同Y4の判示第二の所為は同法第百三十条にあたるからいづれも所定刑中懲役刑を選択し被告人Y4に対してはその刑期範囲内で懲役二月に処し情状に因り同法第二十五条に則り一年間その刑の執行を猶予し被告人Y3に対しては右刑期範囲内で懲役三月に処し被告人Y1、同Y2の判示第一第二の所為は同法第四十五条前段の併合罪であるから刑法第四十七条第十条に則り重い第一の罪について定めた刑に法定の加重を為した刑期範囲内で右各被告人を懲役五月に処しなお同法第二十一条に則り被告人Y1に対する原審における未決拘留日数中弐拾日をその本刑に算入し訴訟費用については刑事訴訟法第二百三十七条第一項により主文末項のようにその負担を定むべきものとし主文の通り判決する。