ID番号 | : | 10535 |
事件名 | : | 労働基準法違反被告事件 |
いわゆる事件名 | : | 福田賃金不払事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 賃金不払につき使用者が起訴された事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法24条 |
体系項目 | : | 賃金(刑事) / 賃金の支払い方法 / 定期日払い 賃金(刑事) / 賃金の支払い方法 / 罪数 |
裁判年月日 | : | 1950年8月1日 |
裁判所名 | : | 東京高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和25年 (う) 291 |
裁判結果 | : | 破棄・有罪(罰金10,000円) |
出典 | : | 高裁刑特報12号45頁 |
審級関係 | : | 一審/前橋地/ . ./不明 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔賃金-賃金の支払い方法-定期日払い〕 〔賃金-賃金の支払い方法-罪数〕 しかし賃金は労働基準法第二十四条第一項によれば、直接個々の労働者に支払わなければならない筋合であるから、同条第二項の規定によつて労働者に対し毎月一回以上一定の期日を定めてこれを支払うべきであるのに、これに違反してその賃金の支払を怠つた場合には、支払期日に賃金の支払を受くべき労働者の数に応じて、各労働者一人毎に独立して同法第百二十条第一号の罪が成立するものと解すべく、従つて各労働者の数に相当する数の併合罪として処断するのを相当とするから、一企業を一単位と考え、企業が単一であれば、支払期の回数、労働者の数とは関係なしに単純一罪が成立するに過ぎないとの論旨は採用することはできない。それゆえ論旨は理由がない。 しかし職権をもつて原判決の擬律を按ずるに原審は、毎支払期日における賃金の不支払を一個の行為と看て、その支払期日において支払を受くべき労働者の数に応ずる犯罪が成立するものとして、刑法第五十四条第一項前段を適用している。けれどもかかる場合には、前段弁護人の論旨に対して説示したとおり、賃金不支払の行為は一個ではなく、支払期日に賃金の支払を受くべき労働者の数に相当する個数の行為及び犯罪が成立する。即ち昭和二十三年十二月分については六十六人の労働者に対する六十六個の行為による同数の各別の犯罪が成立し、以下同様翌二十四年二月分については六十一個、同年三月分については五十六個の行為による同数の犯罪が各別に成立し、以上全部の所為は併合罪の関係にあるものと解すべきであるから、原判決は理由齟齬の違法があり、本件控訴は結局理由があり原判決は破棄を免れない。 |