ID番号 | : | 10537 |
事件名 | : | 労働基準法違反被告事件 |
いわゆる事件名 | : | 労基法違反事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 労基法一〇八条違反の罪数が争われた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法108条 |
体系項目 | : | 罰則(刑事) / 罪数 |
裁判年月日 | : | 1951年4月18日 |
裁判所名 | : | 名古屋高金沢支 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和25年 (う) 643 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 高裁刑特報30号52頁 |
審級関係 | : | 一審/上市簡/ . ./不明 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔罰則-罪数〕 労働基準法第百八条違反の罪は、すでに論旨第四点について判示したように、一定時期に、法定の帳簿に、法定の事項を記入することを懈怠することにより、其の都度、個々独立の一罪として成立する犯罪であると解すべきであつて、本件のごとく、記入すべき時期を異にし、多数の労務者について、法定事項の帳簿記入をことごとく懈怠した場合、これを目して包括一個の継続犯であるとなすを得ないから、此の点に関する論旨は、採用することが出来ない。尚、弁護人は、若し原審認定の事実が併合罪であるとすれば、原判決事実摘示のような包括的な事実認定の方法によつては、個々の行為の独立性を識別出来ないと主張するけれども、労働基準法第百八条違反の罪は、たとえば、窃盗罪のように個々の行為がことごとく其の内容を異にし、包括的な記載方法によつては、各行為の独立性を識別することが出来ないものとことなり、既に述べたように、一定時期に於ける一定作為義務を懈怠することによつて成立する、言わば定型的な行為であるから、原判示のような包括的な記載方法を採用しても、別段個々の行為の独立性を識別することが出来ない訳ではなく、原判決の理由に齟齬があると言うを得ないから、論旨は理由がない。 |