全 情 報

ID番号 10549
事件名 労働基準法違反事件
いわゆる事件名 名古屋羊毛産業事件
争点
事案概要  毛織物製造の事業を営む使用者(取締役)が、満一五歳以上で満一八歳未満の年少者につきその法定労働時間に違反して働かせ、また、満一八歳未満の者に深夜労働をさせたとして起訴された事例。
参照法条 労働基準法旧60条3項
労働基準法旧62条1項
労働基準法旧62条3項
労働基準法旧119条1号
体系項目 年少者(刑事) / 未成年者の時間外労働
年少者(刑事) / 未成年者の深夜労働
労働時間(刑事) / 週の労働時間(48時間等)
罰則(刑事) / 併合罪等
裁判年月日 1956年2月1日
裁判所名 名古屋家
裁判形式 判決
事件番号
裁判結果 有罪(罰金20,000円)
出典 家庭裁判月報8巻5号93頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔年少者-未成年者の時間外労働〕
〔年少者-未成年者の深夜労働〕
 被告人は名古屋市北区(略)に工場を有し従業員百三十名位を使用して毛織物製造の事業を営むA株式会社の取締役で会社の為めに従業員の雇傭就労、賃金等の事項を管理監督する使用者であるが法定の除外事由がないのにかかわらず
 第一、満十五歳以上で満十八歳未満の者の労働時間は一週間の労働時間が四十八時間を超えない限り一週間のうち一日の労働時間を四時間以内に短縮する場合において他の日の労働時間を八時間を十時間まで延長することができるのであるが、昭和三十年八月四日から同月二十日までの間右会社工場において満十五歳以上満十八歳に満たない女工B外九名を別紙労働時間表のように一日の労働時間を四時間以内に短縮することなくしかも一日につき十時間を三十分乃至九時間位を超え更に一週間四十八時間を四時間三十分乃至四十四時間を超えて労働させ
 第二、満十八歳未満の者を午後十時以後午前五時まで交替制によつても午後十時三十分以後は労働させてはならないのにかかわらず前記期間中右同所において満十八歳未満のB外二名を別紙労働時間表〔略〕のとおり午後十時三十分から午前五時までの間夫々一時間三十分乃至三時間位を労働させた。
〔罰則-併合罪等〕
 法律に照すと被告人の判示第一の所為は労働基準法第六十条第三項、第百十九条第一号、判示第二の所為は同法第六十二条第一項第三項、第百十九条第一号に各該当するところいずれも所定刑中罰金刑を選択することとし右各罪は刑法第四十五条前段の併合罪であるから同法第四十八条第二項に則り所定罰金額の合算額の範囲内で被告人を罰金弐万円に処し右罰金を完納することができないときは同法第十八条第一項に則り金四百円を壱日に換算した期間被告人を労役場に留置することとする。
〔労働時間-週の労働時間(48時間等)〕
 一週間の起算は日曜日から土曜日に至る一週と解すべきであり、従つて昭和三十年八月十四日から同月二十日までの一週についてみると何等四十八時間を超過していないし、又一日の労働時間八時間をも超過していないからこの部分については無罪を言渡すべきであるが前週及び前々週の違反部分と包括一罪としての起訴と認められるので特に無罪の言渡をしない。