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ID番号 10563
事件名 労働基準法違反被告事件
いわゆる事件名 日立水沢製作所事件
争点
事案概要  一八歳に満たない児童を有機溶剤の蒸気が発散する場所で六三日間にわたり就業させた行為が労基法に違反するとして事業主であるテレビ部品メーカーとその製作課長が起訴された事例。
参照法条 労働基準法旧63条2項
労働基準法119条1項
体系項目 年少者(刑事) / 未成年者の危険有害業務
罰則(刑事) / 併合罪等
裁判年月日 1977年3月28日
裁判所名 盛岡家一関支
裁判形式 判決
事件番号 昭和51年 (少イ) 2 
裁判結果 有罪(罰金8,000円)
出典 家裁月報29巻11号143頁
審級関係 控訴審/10010/仙台高/昭52. 7.25/昭和52年(う)118号
評釈論文
判決理由 〔年少者-未成年者の危険有害業務〕
 被告株式会社Y1は、水沢市(略)に本店を置き、同所にA工場を設けて主としてテレビの部品であるフライバックトランス、偏向ヨーク等の製造、販売を業とするもの、被告人Y2は、被告会社の第二製作課長として、同課に所属する労働者に関する事項について被告会社のため行為するものであるが、被告人金は、被告会社の業務に関し、別紙のとおり、昭和五〇年九月一日から同年一二月八日までの間、前後六三日間にわたり、右A工場第二製作課において、満一八歳に満たないB(昭和三三年七月一三日生、当時一七歳)を、有機溶剤である一・一・一-トリクロルエタン(別名メチルクロロホルム)の蒸気を発散する場所における業務に就かせ、もつて満一八歳に満たない者を衛生に有害な場所における業務に就かせたものである。
〔罰則-併合罪等〕
 被告人Y2の判示所為は一八歳に満たないBを同被告人がその職場の責任者として同一意思にもとづき、一定期間継続的に同一の有害な場所における業務に就かしめたものであるから、これを全体として包括し一罪とみるべきであり、この点同じ労働基準法違反であつても、一日を一単位としてその罪数を考えるべきものとされる年少者又は女子労働者を深夜業務に就かせるような事例(最高裁第一小、三四・七・二決定、最高刑集一三巻七号一〇二六頁)とはその基準を異にするものといわなければならない。