ID番号 | : | 10569 |
事件名 | : | 労働基準法違反被告事件 |
いわゆる事件名 | : | マルヤス産業事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 砥石車による研磨作業につき、その破壊による危害を防止するに足る措置が講じられていたか否かが争われた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法42条 |
体系項目 | : | 労働安全衛生法 / 危険健康障害防止 / 危険防止 |
裁判年月日 | : | 1958年3月3日 |
裁判所名 | : | 諏訪簡 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和31年 (ろ) 17 |
裁判結果 | : | 無罪 |
出典 | : | 第一審刑集1巻3号341頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労働安全衛生法-危険健康障害防止-危険防止〕 本件研磨機の下方はコンクリート台の上に研削粉が厚く積り、作業者の位置すべき側の反対側には電動機の入つた箱があるため、破壊された砥石車の破片がこれにぶつかり作業者に危険を与える可能性は殆どないと認められるのである。また、押収にかかる覆(昭和三十一年証第四号の二)を見ると、側面は幅約五・五糎の幅で覆われているに過ぎないが、鑑定人A作成の鑑定書のごとく実際上の危険は少いと認めるのが相当である。のみならず、かような露出部の角度や側面を覆う程度は極めて技術的な問題であるから、積極的な行政指導なくして被告人等に対し「研磨盤の安全」に掲げられているような完全さを期待することは困難というべきであり、しかも昭和三十年十一月二日以前にかかる行政指導のなされたことを認めるに足りる証拠のない以上、具体的な行政指導がなかつた旨の被告人等の当公廷における各供述及び被告人等作成の各上申書中の同旨の記載を信用する外ない。従つて、かかる観点から考えれば、右の点の不備については被告人等に責任を帰せしめることができないものといわなければならない。 |