ID番号 | : | 10571 |
事件名 | : | 公務執行妨害被告事件 |
いわゆる事件名 | : | 国労仙台地本事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 国労の時限ストに関連して右組合の役員等が、貨物列車の連結に使用していた機関車の操車誘導に当たっていた助役の左腕をつかむなどして暴行を加えたことが右助役の公務執行を妨害するものとして起訴されたケースで、労働安全衛生規則(旧)四六条一項五号にいう「操車場」の意義が争われた事例。 |
参照法条 | : | 労働安全衛生規則46条1項5号 労働基準法49条 |
体系項目 | : | 労働安全衛生法 / 危険健康障害防止 / 危険防止 |
裁判年月日 | : | 1963年7月13日 |
裁判所名 | : | 仙台地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和36年 (わ) 609 |
裁判結果 | : | 無罪 |
出典 | : | 下級刑集5巻7・8号716頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労働安全衛生法-危険健康障害防止-危険防止〕 労働安全衛生規則における操車場も右の意味におけるそれを指すものであつて、もつぱら列車の組成、車両の入換をする場所に限られ駅その他の停車場における列車の入換連結、解放の作業を行う場所は含まないものと解するのが相当である。けだし、かかる意味での操車場においては列車の組成入換が極めて輻湊して行われ、十分な経験のある者にしてはじめて災害の発生を防止し得る極めて危険な業務であるからである。もつとも、本規定制定の趣旨が特定の危険な業務に経験のない労働者が就業することによつて発生する事故のために当該就業労働者が受ける危害を未然に防止し、かつその反射的効果として他の労働者並に第三者のうける危害および物的損害をも保障するため未経験労働者の就業制限をするものであるとの見地からすれば、操車場における入換業務と一般駅における入換業務との間に特別に差異をもうけるべき理由はないとの議論もなりたち得ないではない。しかし、本件各号に規定されてあるものは、いずれも一般的に云つて危険性の随伴する業務のうちでも特に危険性の高度な部門であり労働基準法第四九条の規定に基くこの規定の定めに違反した場合には、使用者は同法第一一九条により六箇月以下の懲役又は五千円以下の罰金に処せられることになつていることを考慮すれば、この業務の範囲を通常の用語の範囲を超えて広く解釈することにも問題があり、また操車場における入換業務が、前述のとおりその作業密度の高さからして一般に駅で行われる入換業務に比し一段と高度の危険性をはらんでいることから、特にこれを区別して扱うことにも十分の意味があるものと云わなければならない。 |