全 情 報

ID番号 10574
事件名 火薬取締法違反、労働基準法違反被告事件
いわゆる事件名 有限会社岡部組事件
争点
事案概要  ダムサイド試掘横杭工事に当たって、火薬取扱い所を設けず、また導火線爆破の業務につく資格のない者に右業務を行わせたとして有限会社の代表取締役が、労働基準法(旧)四二条等の違反で起訴された事件。
参照法条 労働基準法49条2項
労働基準法119条1項
体系項目 労働安全衛生法 / 危険健康障害防止 / 危険防止
裁判年月日 1970年2月20日
裁判所名 人吉簡
裁判形式 判決
事件番号 昭和44年 (う) 18 
裁判結果 有罪(罰金10,000円)
出典 時報602号105頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労働安全衛生法-危険健康障害防止-危険防止〕
 弁護人は、判示第二の公訴事実について、Aは有資格者であるBの補助者として判示業務に従事したのであり、被告人もAにその旨命じたにすぎないから、被告人の行為は労働基準法四九条二項、一一九条一号、労働安全衛生規則四四条の二の二の一項には該当しないと主張するけれども、右法令は労働者の安全を保障するため使用者が必要な技能を有しない者を特に危険な業務に就かせることを禁止しているのであり、他方その唯一の例外として同法七〇条、七一条は必要な技能を有しない者であっても技能者養成の場合にはその必要の限度で危険業務の就業制限に関する規定について命令で別段の定をすることができる旨規定しているのであるから、右例外事由に該当しない本件においては、労働者を独立して右業務に就かせると、或るいは有資格者の指揮命令に従い手足のように使用される補助者として右業務に就かせるとにかかわりなく、必要な技能を有しない労働者を特に危険な業務に就かせることによって労働基準法一一九条一号(四九条二項)は充足されるものといわなければならないばかりでなく、前掲各証拠によると判示Aは独立して判示業務に従事し、かつ被告人はこれを認容したものであることが認められるから、弁護人の右主張は採用しない。