厚生労働省は9月16日、同日の閣議で「令和4年版厚生労働白書」(令和3年度厚生労働行政年次報告)を報告したとして公表しました。
この白書は、厚生労働行政の現状や今後の見通しなどを、広く国民に伝えることを目的に、毎年、とりまとめており、令和4年版は、平成13年(2001年)の「厚生労働白書」発刊から数えて21冊目となります。
今年度版の白書は2部構成となっており、その概要は以下のとおりです。
【第1部】社会保障を支える人材の確保
(1)現役世代の急減による担い手不足の加速化と、今後必要となる医療・福祉分野の就業者数の見通しを整理
(2)医療・福祉分野の人材のこれまでの取り組み成果や課題を整理
(3)上記を踏まえ、医療・福祉サービスの提供の在り方、人材確保に関する今後の方向性等を提示
【第2部】現下の政策課題への対応
子育て、雇用、年金、医療・介護などの各分野の施策の令和3年度の動き
厚生労働省は9月16日、令和4年3月に大学や高等学校などを卒業して就職を予定していた人のうち、内定が取り消されたり、入職(入社)時期が延期(繰下げ)された状況(令和4年8月末現在)を取りまとめ、概要を以下のとおり、公表しました。
新卒者を雇い入れようとする事業主等は、内定を取り消したり、入職時期を繰下げた場合にハローワークに通知する義務があり、今回はこの通知を取りまとめたもの。
これによると、内定を取消したのは27事業所、内定を取り消されたのは50人となっています。なお、内定取消しが「事業活動縮小を余儀なくされているとは明らかに認められない」などの場合には当該事業所名が公表されますが、今期は該当事案がありませんでした。
【採用内定取消し】(8月末現在)( )内は主にコロナ感染の影響と考えられるもの
令和4年3月新卒者の内定取消し 27(8)事業所・50(29)人
[参考] 令和3年3月新卒者の内定取消し 37(25)事業所・136(124)人
【入職時期繰下げ】同上
該当なし。
[参考]令和3年3月新卒者の入職時繰下げ 16(11)事業所・159(154)人
厚生労働省は9月20日、そのHPに、速報値(9月集計分)を加えた労働災害発生状況を登載しました。
厚生労働省は9月27日、当日午後から開催される第179回労働政策審議会労働条件分科会の資料をHPに以下のとおり登載しました。
(1) 議事次第
(2) 資料No.1-1 労働時間制度に関する検討の論点について
(3) 資料No.1-2 裁量労働制について
(4) 資料No.1-3 裁量労働制実態調査及びその分析の結果について
(5) 資料No.2 多様な正社員の労働契約関係の明確化等について
(6) 参考資料No.1 多様化する労働契約のルールに関する検討会報告書(本日の論点関連抜粋)
(7) 参考資料No.2 労働契約の明確化に関する参考資料(本日の論点関連)
(8) 参考資料No.3 労働契約の明確化に関する主な裁判例(本日の論点関連)
(9) 参考資料No.4 労働契約関係の明確化に関する現在の法制度等(本日の論点関連)
(10)参考資料No.5 多様化する労働契約のルールに関する検討会におけるヒアリング概要(本日の論点関連)
(11)参考資料No.6 労働条件分科会委員名簿
厚生労働省は9月27日、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の在り方について(報告)」の公表として、以下の通り、ハイヤー・タクシー、トラック、バスに関する改善基準の見直し内容をそのHPに登載しました。
(1) 改善基準告示の見直しについて(ハイヤー・タクシー)
(2) 改善基準告示の見直しについて(トラック)
(3) 改善基準告示の見直しについて(バス)
(4) 参考資料1 改善基準告示の見直しの背景
参考資料2 現行の改善基準告示の内容(一覧表)
/人材開発統括官付技能実習業務指導室
厚生労働省は9月30日、法務省とともに同日付けで、監理団体Aの許可を取り消し、監理団体B/Cに改善を命令し、また、出入国在留管理庁とともに、実習実施者10者の技能実習計画の認定を取り消したと発表しました。
なおA社は、契約不履行の場合は送出管理費を減額することを取決め、現に減額していたこと、B社は、臨時監査を行う必要があったのに行わず、隠蔽目的で虚偽文書を提出したこと、C社は偽造文書を地方出入国在留管理局に提出したこと、10者は罰金の刑に処せられ確定したことなどとなっています。
厚生労働省は9月30日、10月は「年次有給休暇取得促進期間」ですとして、「ワーク・ライフ・バランスの実現に向けて年次有給休暇の取得を促進」をサブタイトルに、集中的に普及啓発広報を展開すると発表しました。
これによると、少子化社会対策大綱(令和2年5月29日閣議決定)などで、令和7年までに年休の取得率70%が目標にされているが、令和2年に過去最高(56.6%)を記録したにとどまっており、ワーク・ライフ・バランスを実現するためには、企業等が自社の状況や課題を踏まえ、年休を取得しやすい環境づくりに取り組むことが重要となっているとして、そのためには、(1)確実に休暇を取得するため年休の計画的付与制度*1を導入する、(2)働く人の様々な事情に応じた休み方に対応するため時間単位年休*2を活用することなどが考えられるとしています。
同省では、年休の取得促進に向け、「年次有給休暇取得促進期間」を通じて、機運を醸成していくとしています。
*1年休の付与日数のうち5日を除いた残りの日数について、労使協定を結べば計画的に年休の取得日を割り振れる制度
*2労使協定を締結することにより、年5日の範囲内で時間単位の年休を取得できるもの
厚生労働省は9月30日、各都道県労働局が公表基準に該当するとして、令和3年9月1日以降1年間に公表した事案をとりまとめて公表しました。
北海道労働局は9月26日、そのHPに、麾下の帯広労働基準監督署からのお知らせとして「雇用変動時の労使トラブル防止のポイント」について制作したリーフレットを登載しました。
これによると、十勝管内では地元資本の百貨店の閉店報道があるなど、経済情勢や経営環境の変化の中における雇用変動時には、さまざまな労使トラブルが発生する可能性が高まるため、これを防ぐには、法令や労使間で定めたルールの遵守はもちろん、労使間での事前の十分な話合いや、お互いの信頼関係や尊厳を守る配慮が不可欠であるとして、次のようなポイントを解説しています。
ポイント1 労務管理の基本ルールを理解!
(1) 賃金、退職金、休業手当の支払
(2) 労働条件の変更
(3) 解雇・雇止め
ポイント2 再就職時は労働条件を書面で確認!
滋賀労働局は9月21日、小売業の労働災害の防止と労働安全衛生意識を醸成するため、「+Safe retail 協議会」を設立し、8月3日に第1回協議会を開催したと発表しました。
この協議会の構成員企業は、株式会社アヤハディオ、平和堂、生活協同組合コープしが、株式会社丸善となっており、発表文には各社の取り組みが紹介されています。
兵庫労働局は9月29日、兵庫県立大学で10月5日から2月1日までの間に全14回の寄付講座*を開講すると発表しました。講座の講師は、労働局長をはじめ、労働局各部局の部課長や担当者が努め、テーマは働くときの基礎知識からキャリア形成まで広範にわたり、修了時の評価に合格すると単位が付与されることとなっています。
*産学連携の一環として行われる大学や研究機関での研究・教育活動の一種。奨学を目的とした民間企業・団体などからの寄付金を財源に、期限付きの客員教授などを招いて開設される講座を指す。国立大学の法人化(2004年)以降、多くの大学で開講されることとなった。近年では、将来の人材獲得につなげる目的で寄付する企業も増えている。
高知労働局は9月29日、同局が構成員となっている、「(高知)労働相談・個別労働紛争解決制度関係機関連絡協議会*」が主催して、労働問題の専門家(弁護士等)が一同に集まり、複数の機関にまたがる相談もワンストップで対応する合同労働相談会を、10月28日に、下記により開催すると発表し、高知県で働く方々や事業主の方々に利用を呼び掛けています。
【相談会の概要】
日 時:令和4年10月28日(金)10時から17時まで
会 場:高知県庁北庁舎4階(高知市丸ノ内2丁目4番1号)
相談方法:面談又は電話(当日限定相談ダイヤル:088-821-4661)
予約受付:電話又は高知県労働委員会事務局 Web サイト内申込みフォーム
*予約受付ダイヤル 088-821-4645(高知県労働委員会事務局)
*予約受付期間 10月25日(火)午後5時まで
*合同労働相談会 HPアドレス
https://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/240101/goudousoudanr4.html
*労働局雇用環境・均等室が事務局となり、高知県労働委員会事務局、高知県雇用労働政策課の労働行政機関と法テラス高知(日本司法支援センター高知地方事務所)、高知弁護士会、高知県司法書士会、高知県社会保険労務士会、高知地方裁判所の協力機関・団体により組織されている協議会
沖縄労働局は9月12日、医師の時間外労働の上限規制が、令和6年4月1日から適用されることから、適用猶予期間中に各医療機関が長時間労働削減等に自主的に取組むことが重要となっているとして、県下の有床医療機関に、長時間労働発生の一要因となっている宿日直許可制度の理解を深めていただくための説明会を、10月28日から11月29日の間、管内5カ所で順次、開催するとして、関係者に参加を呼び掛けています。
日本労働組合総連合会は9月27日、同日とりまとめられた、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の在り方について (とりまとめ)」に関し、全業態で休息期間を延長、拘束時間も縮減となるなど全般的に改善したなどとする事務局長談話を発表しました。
中央労働災害防止協会は9月30日、令和4年度 中央労働災害防止協会会長賞・顕功賞・緑十字賞の受賞者を決定し(それぞれ順に、1社・3名・91名)、表彰式を10月19日、福岡県福岡市で開催される全国産業安全衛生大会・総合集会の中で実施すると発表しました。
独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT)は9月16日、NHKと共同で調査した「暮らしと意識に関するNHK・JILPT共同調査」結果を発表しました。
これによると、経済の長期停滞とともに賃金の伸びも低い状態が続き 、世帯の所得分布の中央値が低下し、中間所得層(中間層)の減少、低所得層の増加が懸念されている中で、人々の暮らし向きの様子や中流に関するイメージ、社会に関する考え方などを把握するため、以下の点について共同調査を実施したもの。
(1) 若い世代ほど親より経済的に豊かになれないのか
(2) 親より経済的に豊かになれないことが社会的にどのような負の影響を与えるのか
(3) かつて「一億総中流」という言葉があったが、人々は何を持って中流の暮らしと考えているのか
(4) 年齢、学歴、性別などの個人属性別にみて、イメージする「中流の暮らし」と実際の暮らしにどのような乖離があるのか
(5) 生活水準を指標にした場合、人々は自分がどの階層にあると考えているのか
全基連では、厚生労働省の委託事業として、令和4年9月29日(木)から12月16日(金)までの間に、全49回*の「過重労働解消のためのセミナー」を開催します(事前申し込み制・参加無料)。
*オンライン開催が44回、会場開催が5回(うち2回は「特別企画 業務効率化セミナー」)
このセミナーでは、主に企業の経営者や人事労務担当者、管理職の皆さまを対象に、「健康に生き生き働ける職場づくり」に役立てていただくため、過重労働防止に関する労働関係法令や、過重労働の防止・解消のための対策・手法等を解説するほか、取り組みの好事例などを紹介します。
また、セミナー各回では、例えば「過重労働に関する企業の責任」「過重労働とメンタルヘルス」といった、特に、詳細に解説するテーマを設けて解説することとしており、関心のあるテーマを選んで視聴・受講できます。
また、「特別企画」として東京・大阪で開催する「業務効率化セミナー」では、業務効率化の考え方や実践的な手法・事例などをご紹介します。
下記専用ウェブサイトにて参加者を募集しています。皆さまのご参加をお待ちしています。
【開催期間・時間】
9月29日(木)~ 12月16日(金)中に全49回開催
・午前開催 9:30~12:00
・午後開催 14:00~16:30 ※愛知の会場開催は、13:30~16:00開催
・夜間開催 17:30~20:00
※日程や開催時間・会場・講師・詳細解説テーマなどの詳細は、専用ウェブサイトまたはご案内リーフレットをご参照ください。
【お申し込み・詳細】
「過重労働解消のためのセミナー」専用ウェブサイト(お申し込みはこちらから)
https://kajyu-kaisyou-zenkiren.com/
※全基連ホームページでも、本事業についてご案内しています
https://www.zenkiren.com/jutaku/kajyu-kaishou.html
【お問い合わせ先】
全基連「過重労働解消のためのセミナー事務局」(担当:川田代、磯谷、加藤)
電話:03(5283)1030(平日10:00~17:00)
お問い合わせ専用メールアドレス:kajyu-kaishou@zenkiren.com
外国人技能実習制度関係者養成講習開催のご案内
全基連では、外国人技能実習制度の監理団体関係者向け講習、実習実施関係者向け講習を開催しています。基礎研修、応用研修開催のご案内
全基連では、厚生労働省からの受託事業として、「個別労働紛争解決研修」を開催しています。昨年度は全てオンラインで開催しましたが、本年度は一部対面での研修を復活させました。「労働判例・政策セミナー」をオンデマンドで配信します(参加無料)
~職場のトラブル予防、解決に取り組みたい方対象~
◎「詳解 労働法 第2版」
水町 勇一郎(東京大学社会科学研究所教授)著
(東京大学出版会/1,520頁/定価8,580円(本体価格7,800円+税10%)/R3.9.28発行)
■第2版が発売されました。
本書の初版は、2019年9月に発行され、労働法についてある程度知識や経験をもっている実務家(弁護士、裁判官、政策の企画立案者、社会保険労務士、企業の人事労務担当者、労働組合役員など)と研究者(労働法研究者など)を読者として想定し、労働法の実務の世界で生起するさまざまな問題やそれにかかわる論点を広く専門的に考察するとともに、労働法の実務的な解説書ではなく、今日の労働法の背景・基盤にある歴史的な経緯・成り立ちや理論的な考え方・筋道をできる限りわかりやすく叙述され、労働法の歴史・理論と実務との結びつきを意識しながら、さまざまな問題が詳しく論じられた書として、好評を博してきました。
第2版は、働き方のルールを定めた労働法制のすべてが分かるように、法令や告示・通達など制度の枠組みを分かりやすく解説するとともに、裁判など実際の紛争事例を多数採り上げ基準や潮流を鮮やかに示すとともに、その後の育児介護休業法の改正(2021年6月)やテレワークガイドラインの改定(2021年3月)のほか,「『同一労働同一賃金』最高裁判決」(2020年10月)を詳しく紹介するなど、最新の動向を踏まえて改訂されています。
◎職場で災害が起きたら!「労災保険給付の手続き(改訂3版)」
公益社団法人 東京労働基準協会連合会 編集・発行
(B5判/152頁/定価1,320円(本体価格1,200円+税10%)/R2.12.15発行)
■本書は、労働災害や通勤災害の発生時の現場対応から治ゆするまでの各段階で、事務担当者が「漏れなく」「素早く」「正しく」処理するために必要な手続きについて、その基本的な流れを図解やQ&A、各種様式の最新の記載例(令和2年9月改正も反映しています)を交えて、見易く、分かり易く解説した手引きです。
こんな災害は業務上・通勤途上に該当するのか、労災保険の給付は労災指定病院でしか受けられないのか、海外出張中の災害の現地での治療費は請求できるか、健康保険で病院にかかってしまったが労災保険に切り替えられるかなどの取扱いや事例、交通事故など第三者行為災害の場合の手続きなど、事務担当者の方が判断に迷い易い、間違え易い例をQ&A形式で数多く紹介しています。
また、労働基準監督署に提出する書類について、記載例とともに記載に当たって誤り易い点をピンポイントで解説しています。複数の事業場に勤務するいわゆる兼業・副業労働者の業務上の負荷(労働時間やストレス等)の考え方や給付基礎日額の算出方法など、最新の情報も多数盛り込まれています。
事業主や人事労務担当者必携の1冊です。